21WORK STYLE
プロジェクトストーリー
西川×ナフコ21スタイル
2社の協業から生まれた、
長く愛されるコタツ布団。
西川株式会社 大阪オフィス
広域戦略事業部 第2部
第2課・3課兼任 課長
スリープマスター
崎野純一 (さきの・じゅんいち)
株式会社ナフコ
商品本部 家具部バイヤー
石山寛則(いしやま・ひろのり)
日本の寝具メーカーの老舗「西川」とナフコは、30年以上ともにコタツ布団の商品開発・販売を続けています。「国内外の一流メーカーで、450年以上の歴史をお持ちの西川さんとの取り組みによって、お客様のさまざまな要望に合わせた商品企画・開発・販売ができています」と話すのは、ナフコ商品本部の家具部バイヤー・石山寛則さん。そんな石山さんと一緒に商品開発に尽力している西川株式会社の崎野純一さんの2人に、両者の思いが結実したコタツ布団ができるまでの過程や、2社の協業から生まれる効果をご紹介します。
―30年以上も一緒にコタツ布団の商品開発・販売をしてきた中でのこだわりや、製法はどんなことですか?
石山)コタツ布団の基本的コンセプトとして長年取り組んでいるのは、まず日本製であること。2点目は側生地が綿 100%であること。3点目は、中わたが布団の中で寄れてしまうことを防止するためのアドラー加工です。4点目は、薄掛けマイヤー部分に手触りの良い国産アクリル素材を使用することですね。
崎野)最近はそれに追加して表と裏のリバーシブル柄の追求をさらに行い、表と裏の柄の表現を変えていくようにしましたね。アドラー加工に加えてバージキルト加工という新しい手法を取り入れ、両面の違和感がないように仕上げています。西川基準の品質を保つために100%綿生地を使うのは重要で、混紡の生地と比べると手触りは格別です。1枚1枚丁寧な布団づくりをしています。
- ●アドラー加工とは、布団の周りをぐるりと5㎝ほどの生地で巻き、中わたを一緒に縫い込む加工。中わたの寄りを防ぎ、手繰り寄せる手元のへたれを防止できます。
- ●バージキルト加工:デザインに影響せずにわた寄れが出ないようコタツ布団全体で中綿を一緒に縫い込む加工。リバーシブル柄の良さを活かすことができます。
―商品開発をするにあたり、両者で大切にしていることはどんなことでしょう。
石山)なんといっても市場調査です。まず自社や他社の商品構成をグラフ化し、原価構造やプライスゾーン、プライスポイントを分析します。そして、国内外の展示会だけでなく、お取引先の本社や工場、産地の視察も実施するなどしています。西川さんとは、次の商品はどのようなものにしようかと、常に相談し合っています。
崎野)離れていても電話で相談したり、あの展示会を見に行ったらこんないいものがあったよと報告を受けたり、常に情報を共有しているので、いつも一緒のイメージです(笑)。パートナーといってもいいかもしれませんね。情報や想いを共有し、互いに新しいものを追い求めているからこそ、毎年進化できるのだと思います。
―コタツ布団は季節アイテムですが、季節商品ならではの苦労もあるのではないですか?
石山)11月になっても夏日があるなどの異常気象には苦労しますね。毎日天気予報が気になります(笑)。コタツ布団は1月、2月も売れますが、10月から12月の12週間が勝負!ピーク時に欠品などないようにしっかり在庫管理をしたり、売り方の成功事例を週次で全店共有するなどしたりしています。また、シーズン前には新商品の特徴やセールスポイントを伝えるための商品研修会を実施し、店舗スタッフと情報の共有も忘れません。
崎野)西川のほうでは、勉強会の資料を作成するなどのフォローも行っています。営業チームで主力店舗を回り、店舗スタッフへ補足説明に伺うこともあります。
―今年は世界的に人気のあるウィリアムモリスの図柄を生かしたコタツ布団が登場したそうですね。
崎野)実は、西川株式会社は東京、大阪、京都が統合して今年で3年になり、もともと東京が持っていたウィリアムモリスのデザイン権利を使えるようになったんです。今回コタツ布団に使用したのはモリスのデザインの中でも特に人気の高い「いちご泥棒」というパターンです。木いちごの実をついばんでしまう鳥(いちご泥棒)と唐草模様の図柄を、表面には人気の高いグリーン基調、裏面には落ち着いたグレー基調のものを使用しています。
石山)まさかモリスの柄でわが社のコタツ布団が作れるとは!ほんとうにうれしい限りです。モリスの柄を使おうと決めてから1年以上開発にかかりましたが、素晴らしい布団ができあがりました。これも西川さんと協業しているからこその成果だと思います。
―ビジネスパートナーとしてのお互いをどのようにとらえていますか?
石山)450年以上の歴史に基づく技術や人材をお持ちの西川さんと一緒に商品開発をすることで、本物のモノづくりを知ることができるのはとても大きいことでした。それがお客様の手に渡り、喜ばれている。西川さんの商品は、品質の上限と下限でいうと、まさしく上限の商品。価格でいったらモデレイスプライス。品質の上限を教えていただくことによって、ナフコ21スタイルのさまざまなお客様に喜んでいただけるようなオリジナル商品の開発に役立っています。
崎野)ナフコさんは西川の商品・品質を理解してくれているという点でとても信頼できる存在です。生活者と西川の窓口として多店舗展開されている点も大きな魅力です。いいモノをお客様に届けたい。思いが同じだからこそ、ここまで長くパートナーとして共創出来てきたのだと思います。オリジナル商品や、こだわったデザインや品質を追い求めている姿勢も素晴らしいと思います。これからも西川の商品を広く世間に広めていただけていると信じています。
ナフコと西川の協業で生み出されたコタツ布団の中には、30年以上デザインが変わらずに販売している超ロングセラー商品もあります。親子孫3代に渡って使い続け、3回同じ柄を買い求められ、「4回目だから今度は違う柄にしようか」というお客様もいらっしゃるほどです。家族の歴史の中にずっと存在するコタツ布団を作り出すことができた…それは、私たちの誇りでもあります。細かいところの技術を進化させ、より高い品質を追い求める2社の協業があるからこそ、お客様にご信頼いただけたのだと思います。今後もともに歩み、ともに進化していきたいと思います。